冬毛が観察された馬は割引なのか?【獣医師記者コラム・競馬は科学だ】:中日スポーツ・東京中日スポーツ - 中日新聞
今年は辰(たつ)年。十二支で唯一、想像上の”動物”が割り当てられている巡り合わせだ。実態がないので、何が”正しい”ということもないのだろうが、「うろこは81枚」ということになっているらしい。下顎の裏側についている1枚だけが逆向きで、これが「逆鱗(げきりん)」。触られるとその龍は強烈に怒るという設定が「逆鱗に触れる」という成句につながるのだとか。
鯉が滝を登って龍になるという話もある。これに従えば、龍のうろこは魚類のうろこと進化生物学的に同一視していいのだろう。
鯉が滝を登って龍になるという話もある。これに従えば、龍のうろこは魚類のうろこと進化生物学的に同一視していいのだろう。
魚類や爬虫(はちゅう)類のうろこと、哺乳類の体毛や鳥類の羽毛が進化生物学的にリンクしているのかは長年論争だった。2016年、スイス・ジュネーヴ大のチームが、発生時の遺伝子発現などを追尾する研究で起源が同じとする論文をネイチャーに発表。一応の決着を見た。
競馬において体毛が興味の対象となるトピックに冬毛がある。冬毛が観察された馬は割引だと、広く信じられているようだ。冬毛は夏季の体毛より長いため、その分エネルギーリソースが持っていかれるという理屈を聞くことがある。
科学的にはこれには首肯しがたいものがある。季節的に冬毛に生え替わる現象(換毛)は、すべての馬に共通して起こるものだし、毛が長い分で消費されるエネルギーリソースが、競走能力に影響を与えるほど大きいとも思われない。
定量的に議論した実験、論文も見つからなかった。そもそも「冬毛が競走能力をそぐレベルでエネルギーを要求する」という仮説自体、一笑に付されそうなものだから、当然だろう。
では、なぜ冬毛が割引だと思われているのか。一つには毛づやが悪く見えやすいからだろう。被毛が長ければ、表層の凹凸も大きく見えがちだ。特に、本当に体調が思わしくない時は荒れた被毛の様子が、被毛の短い夏季よりも目立ちやすい。
一方で、冬毛が伸びていて体調がいいということも普通にある。被毛の一本一本は滑らかでも、体毛が長い分、つやが目立たなくなっていると「冬毛は割引」を妄信しては判断を誤ることになる。
中山金杯ではククナが冬毛がやや長く映るが、仕上がりも動きもいい。冬毛だけを根拠に割り引くのはお勧めしない。
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